25日朝発表の2023年10〜12月期の米実質国内総生産（GDP）速報値が市場予想を上回る伸びとなった。

あわせて発表された物価指標がインフレ鈍化傾向を示し、米経済のソフトランディング（軟着陸）への期待が高まった。

GDPは前期比年率3.3%増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想（2.0%増）を大幅に上回った。一方、個人消費支出（PCE）物価指数のエネルギー・食品を除くコアの上昇率は前期比年率2.0%と7〜9月期と同じで、インフレ沈静化が進んでいると受け止められた。GDP発表後に米長期金利が低下し、株式の相対的な割高感が薄れたことも買いを誘った。

ダウ平均ではIT（情報技術）のIBMの上昇が目立つ。24日夕に発表した23年10〜12月期決算や24年12月期通期の業績見通しが市場予想を上回った。建機のキャタピラーや工業製品・事務用品のスリーエム（3M）など景気敏感株も買われた。

ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は一進一退で推移している。24日夕に発表した23年10〜12月期決算を受けて電気自動車のテスラが大きく下げている

23日に決算を発表した工業製品・事務用品のスリーエム（3M）が急落し、指数を押し下げている。半面、決算を評価した買いが入る銘柄もあり、ダウ平均を下支えしている。

スリーエムは一時13%弱下げた。2023年10〜12月期決算と併せて発表した24年12月期通期の業績見通しが市場予想に届かなかった。医薬品・医療機器のジョンソン・エンド・ジョンソン（J&J）も決算と併せて発表した24年12月期通期の1株利益見通しが物足りないと受け止められ、売りが優勢となっている。

ダウ平均は前日に最高値を更新し、初めて3万8000ドル台に乗せていた。週内は23年10〜12月期の米実質国内総生産（GDP）など注目される経済指標に加え、来週にはソフトウエアのマイクロソフトやスマートフォンのアップルなど主力ハイテク株の決算発表が相次ぐ。「連日で高値を更新した後で利益を確定する売りが出やすい」（SIAウェルス・マネジメントのコリン・チェシンスキ氏）との声が聞かれた。

売り一巡後は下げ渋っている。23日発表の四半期決算で1株利益が市場予想を上回った日用品のプロクター・アンド・ギャンブル（P&G）への買いが目立つ。同様に決算を発表した通信のベライゾン・コミュニケーションズも主力の携帯事業の契約者数の伸びが好感され、大幅高となっている。

その他の個別銘柄では、映画・娯楽のウォルト・ディズニーやホームセンターのホーム・デポ、金融のゴールドマン・サックスが安い。半面、スポーツ用品のナイキや医療保険のユナイテッドヘルス・グループが買われている。

19日に付けた過去最高値（3万7863ドル）を上回り、取引時間中としては初となる3万8000ドル台に乗せる場面も。主要企業の四半期決算の発表が本格化し、大手ハイテクを中心に好業績期待から買いが優勢となっている。

23日に動画配信のネットフリックス、24日にIT（情報技術）のIBM、25日に半導体のインテルなどが決算を発表する。市場では「米国景気は底堅く、大手ハイテクを中心に好調な内容となる」（インガルズ・アンド・スナイダーのティモシー・グリスキー氏）との見方が出ている。2024年は米主要企業の業績拡大が続き、楽観的な見通しを示すとの観測がある。

多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は前週末におよそ2年ぶりに最高値を更新した。米株式相場の騰勢が再び強まっており、株高に乗り遅れないようにするための買いが入りやすいとの指摘もある。

22日発表の2023年12月の米景気先行指標総合指数は前月比0.1%低下と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想（0.3%低下）ほど落ち込まなかった。米経済が軟着陸（ソフトランディング）に向かうとの見方も株式相場を支えている。

映画・娯楽のウォルト・ディズニーとスマートフォンのアップルが上昇している。化学のダウや建機のキャタピラーといった景気敏感株も高い。半面、ホームセンターのホーム・デポとスポーツ用品のナイキが下げている。