連日で最高値を更新した後で、3連休を前に持ち高調整の売りが優勢となっている。

ダウ平均は前日まで連日で高値を更新していたうえ、月末や年末を控えた持ち高調整の売りが出やすい。12月に株式相場が急ピッチで上昇しており、高値警戒感もある。米債券市場で長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感を意識した売りが出ている面もある。市場では「静かな相場だが、短期的な利益確定目的の売りが目立った」（ミラー・タバックのマシュー・マリー氏）との声が聞かれた。

ダウ平均の下げ幅は170ドルほどに達する場面があった。もっとも、米連邦準備理事会（FRB）が利上げ局面を終え、2024年前半にも利下げに転じるとの観測は根強い。下値では買いも入って、ダウ平均の下げ幅は限られている。休暇シーズンで取引参加者が少なく、値動きは小幅にとどまっている。

個別では、顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップル、石油のシェブロンなどが下落している。半面、保険のトラベラーズや航空機のボーイング、小売りのウォルマートは上昇している。

年末で特に目新しい材料はなかったものの、米連邦準備理事会（FRB）の利下げ期待を手がかりとした買いが相場を支えた。

インフレ減速を背景にFRBが3月の米連邦公開市場委員会（FOMC）で利下げを開始するとの見方が強まっている。早期に利下げに転じることで米景気後退を避けられるとの楽観も根強い。年末で機関投資家が運用成績をよく見せるための「お化粧買い」のほか、足元の上昇に乗り遅れまいとする買いが入ったとの見方もあった。ダウ平均は110ドル前後上げる場面があった。

半面、ダウ平均は小安くなる場面もあった。前日に1週間ぶりに過去最高値を更新し、12月に入って前日までに1700ドルあまり上げていた。短期的な相場の過熱感や高値警戒感が意識され、景気敏感株の一角などに利益確定売りが出た。

ダウ平均の構成銘柄ではアナリストが目標株価を引き上げたスポーツ用品のナイキが高い。医療保険のユナイテッドヘルス・グループなどヘルスケア関連も上げている。一方、航空機のボーイングや化学のダウ、石油のシェブロンが安い。

ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は5日続伸している。1月に新しいゲーム向け半導体を発表すると伝わった半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス（AMD）が高い。

米連邦準備理事会（FRB）が2024年の前半に利下げに転じるとの期待が相場を支えている。半面、ダウ平均は19日に付けた過去最高値（3万7557ドル）を上回って推移し、主力株を中心に利益確定目的の売りが出ている。中東の地政学リスクも意識され、上昇の勢いは弱い。

米国のインフレ減速を背景にFRBが24年早期に利下げするとの見方は根強い。27日の米長期金利は一時3.78%と7月以来の低水準を付けた。金利と比べた株式の相対的な割安感が意識され、買いが入っている。ダウ平均の上げ幅が140ドル近くになる場面があった。相場の先高観が強く、上昇に乗り遅れまいとする買いが入っているとの見方もある。

もっとも、ダウ平均の上値は重く、下げる場面もある。イスラエル軍の首脳が、パレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとの戦闘について「あと何カ月もかかる」との見方を示したと伝わった。27日は安全資産とされる金の先物価格が上昇し、市場では「地政学リスクが高まるなか、運用リスクを回避する目的の株売りが出た」（ミラー・タバックのマシュー・マリー氏）との声が聞かれた。

年末の休暇シーズンを迎え、市場参加者が減っている。株の売買が普段より少なく、指数に明確な方向感が出にくくなっている面もある。